がん(病気)両立支援~治療休暇制度・従業員貸付制度
こんにちは。
青森県弘前市の社会保険労務士、香取です。
本日は、がん(病気)両立支援~治療休暇制度・従業員貸付制度について説明します。
◎治療休暇制度
・「治療休暇制度」とは、長期的かつ定期的な通院治療が必要な病気を罹患している従業員が、通常の有給休暇とは別に休暇(治療休暇)を取得できる制度です。メリットとして、「中長期にわたり通院が必要な従業員にとって通院時間を確保できる」「知識・スキル・経験がある企業への貢献度の高い従業員の退職を防止できる」「従業員の職場への信頼感・安心感が高まり、企業への貢献度が高まることが期待できる」「治療を続けながら働けるので、従業員の経済的不安が軽減される」などが挙げられます。
・治療休暇制度の導入にあたっては、組織的に取り組むことが重要です。労務管理上の施策と位置づけ、経営陣が明確な目標を持って取り組むという意思を表示することが必要になります。表明後は、制度が利用しやすいよう、意識づけや啓発が必要になります。職場全体が「お互い様」「チームで支える」という雰囲気になるよう、組織的に取り組みましょう。
・制度設計にあたっては、職場での実態や従業員のニーズに合った制度とするため、①制度の適応対象となる従業員の範囲(勤続年数や所定労働時間など)、②制度の適用対象となる私傷病の種類(がんのみとするのか、難病・精神疾患等も含めるのか)、③制度の適応対象となる治療内容(通院治療のみとするのか、検査や短期入院も含めるのか)、④取得できる休暇の単位(1日単位、半日単位、時間単位)、⑤休暇取得中の賃金(有給とするのか、無給とするのか)、⑥休暇の届出方法や診断書等の提出書類の有無、⑦他の休暇との調整(休暇使用の優先順位、その他の休暇との区別)-等について検討することが必要です。加えて、病気に関することは重要かつセンシテイブな情報ですので、個人情報の取扱いについても考えておかなければなりません。
・運用にあたっては、いざ制度利用者が出た場合にスムーズに対応することができるよう、業務が職場内で代替可能かどうか、常に職場全体で業務の「見える化」を行い、業務を分析・精査しておくことが必要です。これは、生産性のアップや業務の適正化にもつながり、企業の全体的なレベルアップにも寄与します。
◎従業員貸付制度
・治療費等の経済的負担へのサポートとして無利子で必要金額(上限あり)を貸し付ける制度。貸付事由は、本人及びその扶養家族の傷病療養費とし、無利子で必要な金額(上限100万円)を貸し、3年間で返済することとしている。全社員が利用可能。
◇ポイント
・治療費や生活費といった、経済的な負担の問題も、これから闘病生活に入ろうという従業員にとっては大きな心配事です。無利子の貸付金制度があれば、従業員も心強いのではないでしょうか。
・企業が加入している団体保険(従業員負担なし)から、休職者が傷病手当金のはかに月5万円を受け取ることができるという制度を導入している企業もあります。
本日はここまでとします。次回に続きます。
またのご訪問お待ちしております。
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