両立支援ガイド(部下が病気になったら)/弘前市(青森県)

こんにちは。
青森県弘前市の社会保険労務士、香取です。

本日は、がん(病気)治療と仕事の両立支援ガイド(管理者②)/部下が病気になったらについて説明します。

◎治療中の部下の心理状態を理解する

◇闘病とストレス

・突然、がんなどの病気と診断されたり、治療が長期にわたったりした場合、体調不良に加えて、本人のストレスが高くなります。ストレス反応として、不安・抑うつ状態に陥ると、希望が持てず、治療意欲が低下するなど、仕事どころではなくなってしまいます。

◇相手の状況を思いやる

・まず病気を打ち明けられたら、お見舞いの言葉をかけましょう。
・そして、部下の言葉に耳を傾け、気持ちや心配事を受け止めましょう。
・まずは、病気を治すことを考えるように伝えます。治療を受けながら働くことや休業後の復職について不安を持つ部下には、就業上の配慮を受けながら支援が行われることを伝えましょう。

◎健康情報は慎重に取り扱う

・治療と仕事の両立支援を行うためには、病名や症状、治療の状況など、病気に関する情報が必要となりますが、これらは機微な個人情報です。職場の健康診断結果以外は、事業者も本人の同意なく、取得することはできません。
・また、上司であるあなたには、本人の同意を得た上で、就業上の措置、および治療に関する配慮を実施するために、必要な情報のみが開示されることとなります。
・部下から詳しい情報を直接聞いている場合であっても、本人に了解なく、その他に話してはいけません。

◇やってはいけないNG

●本人の了解なく、ほかの人に病状を話す
●電話口の大きな声で、療養中の部下の話をする
●本人の了解なく、主治医や家族と連絡をとる
●本人の了解なく、人事労務担当者や産業医から情報を聞き出そうとする

◎会社の支援制度を知っておこう

●相談窓口は?申出の方法は?

・部下に案内できるよう、相談窓口の担当者、連絡先、申請書類などを確認しておきましょう。

●あなたの職場の休暇・勤務制度は?

・一般的に、下記のものがあります。本人の取得状況と合わせて社内の制度を普段から確認しておきます。

◇休暇制度

●年次有給休暇

・会社の社内制度を理解し、本人の取得状況を確認します。会社によっては、有給休暇の未消化分を積み立て、傷病休暇に充てられる制度もあります。

●時間単位の年次有給休暇

・年次有給休暇は、1日単位が原則ですが、労使協定を結べば、1時間単位でとれます(上限は1年で5日分まで)。

●傷病休暇・病気休暇

・入院治療や通院のために、年次有給休暇とは別に休暇を付与するものです。取得条件や取得中の処遇(賃金の支払いの有無等)等は事業場によります。

◇勤務制度

●時差出勤制度

・始業と就業の時刻を変更することにより、身体に負担のかかる通勤時間帯を避けて通勤することができます。

●短時間勤務制度

・療養中・療養後の負担を軽減すること等を目的に、所定労働時間を短縮します。

●在宅勤務(テレワーク)

・一定の期間、あるいは週/月に何日かを自宅で勤務することにより、通勤による身体への負担を軽減できます。

●試し出勤制度

・長期間にわたり休業していた労働者が、円滑に復職ができるように、勤務時間や勤務日数を短縮して、試行的に出勤します。

◎職場復帰者の声

●40代 女性(乳がん)

・婦人科系の疾患のため、病名を職場には知らせないよう配慮してもらいました。
・手術後に復職した直後は、手術の影響で腕が上がらず、パソコン作業などがきついこともあり、適宜休憩をとりながら仕事をしました。
・手術後、放射線治療で通院が複数回あったのですが、時間休(時間単位の有給休暇)をとり、通院しました。

●40代 男性(胃がん)

・復職後は、しばらく食事を1日に6回に分けてとらなければならなかったので、休憩時間を分けてとらせてもらいました。
・当初の予定より早く復職できたのですが、入院中は上司と連絡を取り合って、仕事の状況をよく分かっていたので、スムーズに仕事に戻れました。

●50代 男性(脳血管疾患)

・治療やリハビリテーションのために1年半休職し、復職後、最初の1週間は1日数時間から勤務を始め、午前中のみの勤務から徐々に勤務時間を長くしました。
・言語と短期記憶の障害が残ったことから、コミュニケーションは、メールや文書で行い、仕事内容も業務負荷を減らしてもらい、できる範囲で仕事を続けることができています。

●50代 女性(椎間板ヘルニア)

・立ち仕事の店頭での接客を、座って行う事務作業に代えてもらい、徐々に回復することができました。
・通勤の負担を軽減するため、満員電車を避けられるよう出社を1時間遅らせてもらいました。

◇香取社労士から一言

●がんと診断されて、治療を始める前に会社を辞めてしまう方が多くいらっしゃいます。病気のことで精いっぱいで、ほかの悩み事は手放したいという思いも分かります。しかし、昔と違って、がんは治療すれば治る病気(長く付き合う病気)になってきています。
●治療と就労の両立は、金銭的なこともありますが、社会とのつながりや、自分の存在を必要としてくれている人がいると感じることで生きがいとなります。
●就労中であれば、会社よりの支援も期待できます。また、使える社会保障もあります。
●どうか、どうしようか困ったときは、一度ご相談下さい。

本日はここまでとします。次回に続きます。
またのご訪問お待ちしております。

2019/4/16

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