咽頭・喉頭(咀嚼・嚥下機能・音声・言語機能の障害)~青森県・板柳町

咽頭・喉頭 摘出後後遺症で障害年金を受給する方法
【もくじ】
- 1.咽頭・喉頭 摘出後後遺症とは
- 2.障害年金の基礎知識
- 3.咽頭・喉頭 摘出後後遺症の障害年金認定基準
3-1. 咀嚼・嚥下機能の障害に関する基準
3-2. 音声または言語機能の障害に関する基準
3-3. 併合認定の可能性 - 4.障害年金を受給するためのポイント
- 5.まとめ
1. 咽頭・喉頭 摘出後後遺症とは
病気は「悪い部分を取り除けば元に戻る」とは限りません。
手術によって命が救われる一方で、生活に新たな支障が生じることもあります。
「咽頭・喉頭 摘出後後遺症」はその代表的な例です。
発声や嚥下といった、人が生きていくうえで欠かせない機能が損なわれることで、生活の質が大きく低下します。
咽頭摘出術は、主に咽頭がんの治療として行われます。咽頭には上咽頭・中咽頭・下咽頭があり、摘出する部位や範囲によって術後の後遺症は異なります。
-
・中咽頭や下咽頭を摘出した場合:
→ 嚥下機能が低下し、正しい発音が困難になることがあります。 -
・喉頭までを摘出した場合:
→ 声帯も失われるため、声を出すことができなくなります。
さらに、喉頭摘出後には嗅覚の喪失や、埃や乾燥した空気を直接吸い込んでしまうなどの問題も生じます(気管と食道が完全に分離されるため)。
こうした症状によって「話す」「食べる」といった、これまで当たり前に行っていた日常動作が困難になるため、障害年金の対象となる可能性があります。
2. 障害年金の基礎知識
障害年金とは、病気やけがにより日常生活や仕事に支障が出た場合に支給される年金です。
受給には以下の2種類があります。
種類 | 対象となる加入制度 | 支給される等級 |
---|---|---|
障害基礎年金 | 国民年金 | 1級・2級 |
障害厚生年金 | 厚生年金 | 1級・2級・3級(または障害手当金) |
■ 障害基礎年金
対象者:
- ・初診日が国民年金加入中の方
- ・20歳前や60歳〜64歳で年金未加入期間に初診があった方
要件:
- ・原則、保険料納付要件を満たしていること
- ・障害等級1級または2級に該当すること
支給額(令和6年度):
- ・1級:1,020,000円+子の加算
- ・2級:816,000円+子の加算
■ 障害厚生年金
対象者:
- ・初診日が厚生年金加入中の方
要件:
- ・保険料納付要件を満たしていること
- ・障害等級1〜3級に該当すること
支給額の目安:
- ・1級:報酬比例部分×1.25+障害基礎年金1級
- ・2級:報酬比例部分+障害基礎年金2級
- ・3級:報酬比例部分(最低保障612,000円)
※1・2級には配偶者加算あり
■ 障害手当金(障害厚生年金より軽い障害の場合)
対象者:
- ・初診日が厚生年金加入中で、症状が固定している方
- ・障害年金を受給していないこと
要件:
- ・初診日から5年以内に症状が固定していること
- ・障害等級に該当する軽度の障害状態であること
支給額:
・報酬比例部分×2(最低保障1,224,000円)
3. 咽頭・喉頭 摘出後後遺症の障害年金認定基準
がんの治療により咽頭または喉頭の摘出手術を受けた場合、発声や嚥下、呼吸といった日常生活に深く関わる機能に重大な障害が残ることがあります。こうした機能障害に対しては、以下のような障害年金の認定基準が設けられています。
● 声帯摘出による発声障害(失声)
声帯を摘出した場合、音声による会話ができなくなり、日常生活や社会生活において大きな制約を受けます。このような「失声」状態は、障害年金において3級に該当する可能性があります。
【障害認定基準(例)】
- ・両側声帯摘出、またはそれに準ずる状態で、音声言語による会話が著しく困難である場合
- ・音声代用器(電気式人工喉頭など)の使用が必要となっている場合
なお、失声状態であっても、代用手段によって日常会話がある程度可能であれば、障害の程度として軽く見られることもあります。そのため、診断書には代用発声の可否やその程度を明確に記載してもらうことが重要です。
● 咀嚼・嚥下・呼吸機能の障害
喉頭や咽頭の摘出後、咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ:飲み込み)機能、さらには呼吸機能に障害が残る場合もあり、これらの障害も障害年金の認定対象となります。
たとえば以下のようなケースが該当します。
【該当例】
- ・嚥下困難により経口摂取が困難となり、経管栄養(胃ろうなど)に依存している
- ・永続的な気管切開が必要で、日常的に気道管理を要する
- ・喉頭摘出後の呼吸障害により、補助装置が必要な状態
このような重度の障害がある場合は、2級または1級に該当することもあります。
● 認定には総合的な判断が必要
咽頭・喉頭の摘出後遺症に関しては、単なる音声機能の喪失にとどまらず、生活全般への影響を踏まえて認定が行われます。特に、以下のような要素が重視されます。
- ・言語機能(音声・発語・代用手段の有無)
- ・嚥下・栄養摂取の方法とその制限
- ・呼吸機能とその補助の必要性
- ・就労や社会生活への影響
診断書ではこれらの点を詳しく記載してもらい、症状の程度を正確に伝えることが障害年金の受給に直結します。
4. 障害年金を受給するためのポイント
咽頭・喉頭がんによる音声機能の喪失は、日常生活や就労に大きな影響を与えます。障害年金を受給するには、認定基準に該当する後遺症が残っていることを前提として、適切な書類を整えることが大切です。以下のポイントを押さえておくことで、申請をスムーズに進めることができます。
● 音声機能の喪失に該当するかを確認
まず重要なのは、「音声機能の喪失」と認定される状態かどうかを医師と確認することです。喉頭や咽頭の摘出後、声帯が完全に失われており、会話が不可能な状態であれば、「失声(音声機能の喪失)」として認定される可能性があります。
ただし、食道発声や電気式人工喉頭を使用している場合でも、自然な発声が困難であるなら、障害年金の対象となることがあります。 医師が診断書に「音声機能喪失」や「失声状態にある」ことを明記することが重要です。
● 障害年金の種類に応じた認定要件を確認
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があり、認定要件が異なります。
-
・障害基礎年金では、1級または2級に該当する必要があります。
- ・音声機能の喪失(失声)のみでは基礎年金の対象とならない場合が多いですが、日常生活への支障が大きい場合には2級に認定される可能性もあります。
-
・障害厚生年金では、3級にも認定枠があるため、失声が明らかな場合には3級に該当する可能性が高くなります。
加入していた年金の種類や初診日の確認も含め、年金制度ごとの違いを理解しておくことが必要です。
● 医師の診断書の記載内容が重要
障害年金の審査では、診断書の内容が大きな判断材料となります。音声機能の喪失に関しては、以下の点が診断書に明記されているかを確認しましょう。
- ・喉頭や咽頭の摘出手術を受けた事実
- ・声帯の完全な喪失による発声不能状態
- ・会話ができないことによる日常生活の支障
- ・補助器具(人工喉頭等)の使用状況とその効果
診断書の記載が不十分だと、障害認定の対象とならない場合もあります。診断書を依頼する際には、医師にご自身の状況を正確に伝え、必要な情報が盛り込まれるようにしましょう。
● 病歴・就労状況等申立書にも工夫を
診断書に加えて提出が求められる「病歴・就労状況等申立書」には、失声状態によって日常生活や社会生活にどのような支障が生じているかを、具体的に記載することが重要です。以下のような点を盛り込むとよいでしょう。
- ・家族や職場とのコミュニケーションの困難
- ・外出先での会話が困難なため、通院・買い物などに支障がある
- ・電話でのやり取りができないことによる不便さ
- ・就労の継続が難しい、または職場環境を大きく変えた必要性
日々の困難を客観的かつ具体的に記載することで、審査側に現状を的確に伝えることができます。
5. まとめ
咽頭・喉頭がんによる摘出手術の後遺症、特に**声を失うこと(失声状態)**は、障害年金の認定において「音声機能の喪失」として重視されます。とくに厚生年金の被保険者であった方は、障害厚生年金3級の対象となる可能性が高く、申請を行うことで経済的な支援を受けることができます。
ただし、単に声が出ないというだけでは認定されないこともあり、医師による正確な診断書の作成と、日常生活への支障を記した申立書が不可欠です。
障害年金の手続きは複雑で、記載内容の不備や認識のずれによって不支給となるケースも少なくありません。少しでも不安を感じたら、障害年金に詳しい社会保険労務士など専門家に相談することをおすすめします。
声を失ったことで生活に大きな制限がある方にとって、障害年金は大切な生活の支えとなります。適切な申請により、安心して生活できる環境を整えていきましょう。
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