なぜ就業規則が必要なのか?~香取社会保険労務士・弘前市

就業規則は、会社運営の基本ルールを定めたものであり、企業活動を円滑にするために不可欠な「ルールブック」です。異なる背景や価値観を持つ従業員が集まる企業では、意見や認識の違いからトラブルが生じる可能性が高いため、就業規則がそうしたトラブルの防止に役立ちます。また、就業規則は単に作成するだけでなく、従業員に周知し、適切に運用することが大切です。

就業規則がない場合のデメリット

就業規則を作成していない企業は、以下のようなデメリットが生じる場合があります。

1. 会社都合の有給休暇を付与できない

シフト制や繁忙期がある職場では、従業員の都合だけで有給休暇を取得されると、業務に支障が出る場合があります。こうした場合、有給休暇のうち5日を除いた分を会社都合で計画的に付与することが可能です。しかし、就業規則にその旨を明記していなければ、会社都合での有給休暇付与ができません。

2. 遅刻・欠勤による賃金控除ができない

従業員の遅刻や欠勤に対し、「ノーワーク・ノーペイ」の原則から賃金を控除できますが、就業規則がない場合、賃金計算の根拠が明確でないため、控除が認められないことがあります。

3. 懲戒処分が行えない

従業員の重大な違反行為に対し懲戒処分を行う際も、就業規則にその基準や手続きが明記されていないと、適切な懲戒が行えず、不当解雇として訴えられるリスクがあります。

4. 助成金の申請ができない

雇用関係助成金の申請には、就業規則の整備が要件となっていることがあります。

就業規則の作成義務がある企業とは?

労働基準法第89条により、「常時10人以上の労働者を使用する企業」は、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署に届け出る義務があります。違反した場合は30万円以下の罰金が科せられます。10人未満の企業には作成義務はありませんが、従業員のトラブル防止や会社のルールの明確化のため、作成しておくことが望ましいでしょう。

就業規則作成の目的とポイント

就業規則は「何のために」作成するのかを明確にすることが重要です。法律の改正や業界特有の事情も踏まえ、会社の実態に沿った内容にすることが求められます。独自の就業規則を作成するためには、専門的な知識や法的なノウハウが必要であり、外部の専門家の協力を検討することも一案です。

就業規則作成を誰に依頼すべきか?

就業規則作成には、企業ごとに異なるニーズがあり、どの専門家に依頼するかも重要です。以下の3つの専門家とそれぞれのメリットを見てみましょう。

1. 社会保険労務士に依頼

労働基準法を専門とする社会保険労務士(社労士)は、就業規則の作成を独占業務としています。費用は一般的に数万円から50万円程度ですが、新規作成か一部変更かで料金は異なります。社労士に依頼する際は、スタンスを確認し、企業の方針に合った専門家を選ぶことが大切です。

2. 弁護士に依頼

就業規則の作成を弁護士に依頼するケースもあります。特に、企業法務や労働問題に注力している弁護士を選ぶと良いでしょう。費用は社労士より高めですが、訴訟対応も視野に入れたい企業には適しています。

3. 社労士・弁護士以外に依頼する場合

社労士や弁護士以外の無資格のコンサルタントに依頼するのはリスクが伴います。労働関連法規に関しては、専門的な知識を持つ専門家の支援が望ましいでしょう。

就業規則を自社で作成する際のポイント

自社で作成するメリットもありますが、労働法や雇用契約書の関係性についての高度な知識が必要です。さらに、就業規則の作成に人員を割くことで発生する「見えないコスト」や、リーガルチェックが行われないリスクも考慮する必要があります。

就業規則作成の具体的なプロセス

  1. 就業規則の原案作成
    「絶対的必要記載事項」「相対的必要記載事項」「任意記載事項」を検討し、法令に反しない内容かリーガルチェックを行います。
  2. 従業員代表者からの意見聴取
    原案に対して従業員代表者の意見書とサインをもらいます。
  3. 労働基準監督署への届出
    就業規則届と意見書を所轄の労働基準監督署に提出します。
  4. 就業規則の周知
    就業規則は、常時閲覧可能な場所に掲示し、従業員が容易に閲覧できるようにします。

就業規則のひな形と作成支援ツール

就業規則のひな形は、厚生労働省が運営する「就業規則作成支援ツール」などからもダウンロード可能です。ただし、各企業や業種の実態を反映するには、ひな形をそのまま使用するのではなく、専門家のチェックを受けることをお勧めします。

業種別の就業規則作成の注意点

業種によって適用される法律が異なるため、就業規則作成の際には業界特有のポイントに注意が必要です。例えば、飲食業では繁忙期があり変形労働時間制や休日制を考慮したルールが適しています。

<変形労働時間制>
店舗型業種では1か月単位の変形労働時間制がよく用いられています。この制度を適用するには、就業規則や労使協定で詳細を定めることが必要です。

就業規則作成の際のツールの選択と注意点

就業規則をWordで作成する場合、完成後はPDFに変換し、内容の改変を防ぐことが望ましいです。また、厚生労働省の「就業規則作成支援ツール」も活用できます。

就業規則の作成に関心のある青森県内企業様へ

香取社会保険労務士事務所は、青森県の弘前市を中心に、青森市・黒石市・平川市・五所川原市など広範なエリアで就業規則の作成や見直し、労務管理に関するコンサルティングを行っています。青森県内で就業規則についてお悩みの企業様、ぜひ香取社会保険労務士事務所までご相談ください。

2024/11/9

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