採用に関する問題~労働契約

こんにちは。
青森県弘前市の社会保険労務士、香取です。

本日は、採用に関する問題~労働契約について説明します。

◎質問

・労働者を採用する際に注意することはありますか。また、採用内定を取り消すことはできますか。

◎回答・解説

◇労働者の採用時の法的制約

・使用者は、労働契約の締結に際し、労働基準法施行規則5条1項に規定された以下の条件を明示しなければなりません。

①労働契約の期間に関する事項
②期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
③就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
④始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における終業時転換に関する事項
⑤賃金(退職手当及び⑧に規定する賃金を除きます。以下⑤において同じ。)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払いの時期並びに昇給に関する事項
⑥退職に関する事項(解雇の事由を含みます。)
⑦退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法並びに退職手当の支払いの時期に関する事項
⑧臨時に支払われる賃金(退職手当を除きます。)、賞与及び労働基準法施行規則8条各号に掲げる賃金並びに最低賃金に関する事項
⑨労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
⑩安全及び衛生に関する事項
⑪職業訓練に関する事項
⑫災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
⑬表彰及び制裁に関する事項
⑭休職に関する事項

・前記のうち、①ないし⑥については、書面の交付により労働者に明示する必要があります。もっとも、⑤、⑥及び④の所定労働時間を超える労働の有無を除いた部分については、就業規則の必要的記載事項ですので、就業規則を交付した上、①ないし⑥及び所定労働時間を超える労働の有無を記載した書面を交付すれば足ります。

◇採用内定の取消し

・採用内定とは、始期付解約権留保付労働契約の成立と解されています。留保解約権の内容は、採用内定時に通知書等に定められる(内定取消事由)のが一般的です。採用内定の取消しは、この留保解約権の行使を意味しますが、取消事由に該当すれば必ず内定を取り消せるわけではありません。この解約権の行使は、解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認することができるものに限られると考えられています。
・まず、採用内定時に判明していた事情を理由とする内定取消は、使用者にとって、その事情を織り込んだ上で採用内定を出していると言えるので、原則として取消しは認められません。
・次に、提出書類への虚偽記載があるようなケースでも、虚偽記載の内容や程度が重大なもので、労使関係に影響を与えるようなものでなければ合理性がないと考えられます。
・最後に、内定後の経営悪化を理由にする場合は、整理解雇に準じた検討をする必要がありますが、既に就業している従業員よりも、採用内定者を優先して内定取消しをすることについては、人選基準の合理性が認められると考えられます。

◇相談のポイント

●労働者を採用する際は一定の事項を明示する必要あり。
●採用内定の取消しは客観的に合理的と認められる社会通念上相当の理由がない場合、権利の濫用に当たるおそれあり。

◇香取社労士から

●労働者を採用する時は、規定された労働条件等を明示する必要があります。就業規則を整備して、労働者に対しての会社の方針等を明確にすることは、労働者に安心を与え、また、いざという時には会社を守ります。
●就業規則の作成・変更等のご相談は、遠慮なくメールか電話にて無料相談をご予約下さい。

本日はここまでとします。次回に続きます。
またのご訪問お待ちしております。

2019/5/28

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