採用内定~オワハラの法規制は?
こんにちは。
青森県弘前市の社会保険労務士、香取です。
本日は、採用内定について説明します。
◎意義
・採用内定とは、人材を早期に確保する目的で新規学卒者を採用する場合において、その在学中に採用を決定し卒業と同時に就労させる制度である。採用内定制度には具体的な法規制はなく、その設定は合理的なものであれば労使間の自由である。
・最高裁・〇〇印刷事件判決(昭和54年7月20日)においては、一般的な形態の採用内定の場合には採用内定通知が応募者に到達した時点で労働契約が成立すると解されている。ただし、この成立した労働契約は、就労の始期(通常は4月1日)付きかつ解約権留保付きであると解されているため、就労は学校卒業後であり、卒業できない場合等には使用者の解約権が留保されていることとなっている。なお、「採用内内定」は、法規制はないが、一般的な場合は採用内定のような当事者の拘束性が弱いため、採用内定と同視されておらず労働契約が成立したとは解されないことが多い。
・なお、近年問題となっているいわゆる「オワハラ」は、「就活終われハラスメント」の略称とされ、採用内定時に事業主が学生に、その後の就職活動をしないように強要等を行うことを意味する。オワハラについては、法規制はないが、労働行政機関は職業選択の自由(憲法22条)の観点から採用内内定の段階で学生の他社への求職活動を阻害しないこと等を事業主に求めている。
◎採用内定取消し
・採用内定を取り消すことは、成立している労働契約を解約することであるため、就労を開始していない時点でも解雇に該当する。このため、その採用内定取消しである解雇が法的に有効であるためには、事業の極度の不振、学生の卒業不能、予定された学業資格の取得不能等の合理的な理由が必要であり、また他の法的解雇制限も適用される。なお、採用内定を取り消す場合は、事業主はあらかじめ公共職業安定所長及び学校長等にその旨を通知すべきものである。
◎採用内定の指針
・大学の卒業予定者の採用内定については、従来からいわゆる「青田買い」による学業への弊害が問題化していた。このため、法的根拠はないため強制力はないが、有力な財界団体が「採用選考に関する指針」(従来は「倫理憲章」と称されていた)を策定し、企業・大学・行政機関に協力を求めて、就職活動の適正化を企図している。「採用選考に関する指針」による2017年の取扱いは、就職広報活動(説明会等)の開始が3月1日以後・採用選考活動が6月1日以後・内定が10月1日以後に制限されている。
・なお、高校の卒業予定者の採用内定のルールは、大学の場合とは異なる。
本日はここまでとします。次回に続きます。
またのご訪問お待ちしております。
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