他の給付との調整①~傷病手当金・労災保険・損害賠償金等

こんにちは。
青森県弘前市の社会保険労務士、香取です。

本日は、他の給付との調整①(業務外と業務上)について説明します。

・障害年金と同時に、他の制度からの給付を受けることがあります。
・障害年金を受ける原因となった傷病と同じ傷病を対象にして他の制度からも給付される場合、調整されます。調整がされる・されないなどは、一覧を参照ください。

◎業務外の病気やケガの場合(健康保険の給付)

・業務外で傷病を負った場合、健康保険法から「傷病手当金」を受けられることがあります。健康保険の被保険者が、傷病のために会社を休み、会社から十分な給料を受けられないときに支給されます。療養のため会社を連続3日間休むと4日目から受けられ、最長1年6か月間受けることができます。
・障害年金は、多くは初診日から1年6か月経ってから請求できるものです。そのため、多くの場合、先に傷病手当金の申請をしてから、あとで障害年金を請求します。

※「傷病手当金」を何年か前に受けたけれど、調整されるんでしょうか?

・調整がされるのは、「傷病手当金」と障害年金の給付の原因となった傷病が同じで、先に受けていた「傷病手当金」と障害年金の支給期間が重なる場合です。過去に遡って障害年金を受けることが決まった時には、注意が必要です。「傷病手当金」を受けていた期間と重なっていれば調整も遡ってされるためです。この場合、障害年金が支給され、「傷病手当金」は支給されません。
・ただし、障害厚生年金の額(同時に障害基礎年金を受けられるときはその合計額)の360分の1が、「傷病手当金」の日額より低いときはその差額が支給されます。
・また、厚生年金保険法の「障害手当金」が受けられる場合は、「傷病手当金」の額の合計が、「障害手当金」の額に達するまでは「傷病手当金」は支給されないことになっています。

※なお、次の場合は調整されません。

●2つの給付で受け取る原因になる傷病が違う
例:傷病手当金は「うつ病」、障害年金は「肝硬変」
●傷病手当金と障害年金の支給対象の月が重なっていない
●受けている年金は障害基礎年金だけである

◎業務上の病気やケガの場合・・・①(労災保険の給付)

・業務上、傷病を負った場合、労災保険法から「傷病(補償)年金」や「障害(補償)年金」を受けられることがあります。障害年金と同じ傷病について労災保険からこれらが支給されるときは、障害年金は支給され、労災保険の給付が減額されます。なお、給付の名称に「補償」がつくときは業務上災害、つかないときは通勤災害になります。

※障害年金は減らされず、労災の年金が減らされて両方受けられるんですね

◎業務上の病気やケガの場合・・・②(労働基準法の場合)

・業務上の傷病では、会社の事業主による補償(障害補償)が行われることがあります。この場合、障害厚生年金(障害基礎年金を受けられるときは障害基礎年金を含む)は6年間、その支給が止まります。

◎交通事故などで「損害賠償金」を受けた場合

・交通事故などで事故に遭いケガを負った場合、加害者(第三者)に対し損害賠償の請求を行うことができます。同時に、ケガの程度によっては障害年金を受ける権利もあります。
・加害者からの「損害賠償金」と障害年金は、同じ事由による補償です。厚生年金保険と国民年金の法律には、被害者が二重の生活保障を受ける不合理を避けるための規定があります。
・被害者、保険者(厚生労働省)、および加害者(第三者)の間で調整がされます。

※調整の方法は、次のとおりです。

●「損害賠償金」(自賠責保険等を含む)を受けたときは、事故日の翌月から起算して最長36カ月の範囲内で障害年金は支給停止されます
●調整の対象となるのは、「損害賠償金」のうち生活保障費に相当する金額のみです(慰謝料や医療費などは対象外です)

※初診の事故日から3年以上経ってから障害年金の受給権を得たときは、調整されないっていうことですね

◇障害年金との併給調整

〇・・・併給できる X・・・併給できない
△・・・障害年金は全額受けられ、他の給付は調整される

●傷病手当金(健康保険法)

・△
・基本的には、障害厚生年金(※1)と支給事由が同じ傷病手当金とは併給できない
・ただし、(障害厚生年金/360日<傷病手当金の日額)の場合、差額が傷病手当金から支給される
・厚生年金から障害手当金を受けられる場合、傷病手当金の額の合計額が、障害手当金の額に達する日まで傷病手当金は支給されない

●傷病(補償)年金・障害(補償)年金(労災保険法)

・△
・障害厚生年金および障害基礎年金(※2)と傷病(補償)年金や障害(補償)年金を受けられる場合、傷病(補償)年金や障害(補償)年金が減額調整される

●障害補償(労働基準法)

・X
・障害補償を受ける場合は、同じ支給事由の障害厚生年金及び障害基礎年金(※2)は、6年間、支給停止となる

●基本手当(雇用保険法)

・〇
・会社退職後、ハローワーク(※3)で求職の申込みができ基本手当(失業給付)を受けることができる場合は、障害年金と併給でき調整されない

●傷病手当(雇用保険法)

・X
・傷病について、他の法令により行われる類似の給付である障害年金を受けている日については、支給されない

●第三者行為による霜害賠償金(民法)

・X
・自動車事故などで加害者(第三者)から損害賠償金を受けた場合、事故日の翌月から最長で36カ月、障害年金は支給停止される
・障害年金を受けるようになった後、損害賠償金を受けることとなった場合:本来の障害年金の支給停止期間に支払われた年金額に達するまでは、本来の支給停止期間を経過し支給再開した後に支払われる年金額から、1/2の額が差し引き支給される

●生活保護法による給付

・△
・厚生労働大臣が定める基準で計算される「最低生活費」と障害年金を含む収入を比較し、(収入<(最低生活費)となる場合に、最低生活費と収入との差額が保護費として支給される

※1・・・1、2級の障害厚生年金の場合は、障害基礎年金を含む額
※2・・・障害厚生年金のみ、障害基礎年金のみ、または障害厚生年金と障害基礎年金の両方を受けられる場合を含む
※3・・・公共職業安定所のこと

※20歳前障害での障害基礎年金が止まるとき

・20歳前に初診日がある障害基礎年金を受けている人は、所得の制限以外でも年金が止まることがあります。
・次のいずれかの状態であるときは、その間、年金が止まります(支給停止)。

1.恩給法(※)に基づく年金給付、労災保険法(労働者災害補償保険法)の規定による年金給付等の給付で政令で定めるものを受けることができる。
※共済組合法の前身で公務員の年金や一時金について定めた法律

2.刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されている。
・ただし、未決拘留者(判決が確定しないで拘留されている人)を除く。

3.少年院その他これに準ずる施設に収容されている。

4.日本国内に住所を有しない

・20歳前障害だけこのような規定があるのは、20歳前障害は保険制度の考え方から外れ、保険料の納付をしなくても福祉的に支給されるものだからです。

◇ポイント

●健康保険の「傷病手当金」>「障害年金」のとき・・・支給期間が重なる場合は、差額が「傷病手当金」となる
●「労災保険」と「障害年金」が同時に受けられるとき・・・「労災保険」の額が減額される
●交通事故などで加害者から「損害賠償金」が支払われたとき・・・最長36カ月の調整期間がある

本日はここまでとします。次回に続きます。
またのご訪問お待ちしております。

2019/2/19

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