年金保険料の「未納」はしない!~障害年金・受給要件

こんにちは。
青森県弘前市の社会保険労務士、香取です。

本日は、年金保険料の「未納」はしない!について説明します。

・障害年金を受けるためには、初診日前の保険料の納付が一定以上でなければなりません。なお、20歳前に厚生年金の加入がない場合は、保険料の納付は問われません。

◎「2/3以上を納付」であること(2/3要件)

・初診日の前日時点で、初診日の前々月までの加入期間の状態を見ます。年金加入期間のうち、「納付済み」と「免除」、「猶予」を合わせた期間が2/3以上あることが必要です。言い換えれば、未納が1/3未満であることです。

※困りました・・・未納が1/3以上あるから、条件を満たせませんよね・・・

・それならもう1つの「直近1年要件」ではどうでしょうか?

◎直近1年が未納でないこと(直近1年要件)

・初診日が2026年4月1日以前であり、初診日に65歳未満である場合に限り、直近1年要件が使えます。

※2/3以上か直近1年かどちらかOKならいいんですね!

・その通りです。

・初診日の前日時点で、初診日の前々月までの加入期間からさかのぼった1年間に「未納」がないことです。言い換えれば、この1年間は「納付済み」、「免除」、「猶予」のいずれかの組み合わせであればよいのです(「免除」だけ、など1種類でもよい)。さらに、直近1年要件では、2/3要件とは違い「年金に加入しなくてもよい期間」も認められます。

※年金加入をしなくてもよい期間(20歳~60歳の例)

・海外に住み、国内に住民票がなかった期間
・強制加入ではなかった昭和61年(1986年)3月以前の、会社員や公務員の配偶者の期間
・強制加入ではなかった平成3年(1991年)3月以前の、学生だった期間

◎「未納」とは何か

・保険料はその月分を翌月の末日までに納付することになっています。「未納」とは、この納付期限を過ぎても保険料が納められていない状態を指します。
・しかし、納付期限は過ぎても時効にかからない2年間は納めることができます。さらに、平成30年(2018年)9月まで特例措置(「後納制度」)により、期間内であれば過去5年間の未納についてもさかのぼって納めることができました。

◎納められないときは「免除」か「猶予」に

・経済的な事情で納付できない場合は、必ず何かしらの手続きをしてください。市区町村の国民年金の担当課または年金事務所に相談すれば、その人の事情に合う納付以外の方法を案内してくれます。
・納付以外の方法とは、1)「免除」と2)「猶予」です。

・障害年金では納付条件を見るとき、老齢年金と違い、「免除」と「猶予」は「納付済み」と同等の扱いとなります。

※同等の扱い?もう少し詳しく教えてください

・つまり、「免除」と「猶予」ばかりの年金記録であったとしても、すべて「納付済み」の年金記録の人と、障害年金の額で差が出ることはないのです。

1)「免除」はその人の経済事情に合わせて4種類あります。

①全額免除 ②半額免除 ③3/4免除 ④1/4免除 です。

・気をつけなければいけないのは、①全額免除以外、保険料の一部を納めなければならないことです。
・たとえば、④1/4免除ならば、保険料の3/4は納付しなければなりません。決められた保険料を納めないと、「未納」とみなされてしまします。

2)「猶予」は2種類あります。

①納付猶予 ②学生納付特例 です。

・①納付猶予は50歳未満の人が対象になり、②学生納付特例は大学、専門学校などに在学中の学生が対象となり、学生であれば年齢は問われません。

◎「未納」と¨承認されて納めていない¨は違う

・「保険料を納めていません」と話す人の年金記録を見ると、「全額免除」などになっていることがあります。これと「未納」は、違うものです。
・保険料を全額納めないことについて承認を得ている状態のものは、「全額免除」、「納付猶予」、「学生納付特例」です。これらは納付しないことについて法的に認められ、資格の期間としてカウントされます。しかし、何も手続きせず「未納」にしていると資格として認められません。手続きを踏み¨承認されて納めていない¨ものと「未納」とは、まったく違います。

◇まとめ

●保険料の納付は、2/3要件または直近1年要件を満たせばよい
●障害年金では「免除」や「猶予」は、「納付済み」と同じ扱い
●納付できないときは、必ず「免除」か「猶予」の手続きをし、「未納」にしない!

※香取社会保険労務士の思い

・まとめにも書きましたが、経済的な事情で保険料を納付できない場合は、市区町村の国民年金の担当課または年金事務所への相談をお願いします。学生納付特例の場合にはも手続きが必要です。初診日以降に納付しても間に合いませんので、十分注意して相談、手続きをしていただきたいと思います。
・障害年金の受給要件もそうですが、将来の老齢年金にも関係することですので、是非とも手続きをして下さることをお願いします。

本日はここまでとします。次回に続きます。
またのご訪問お待ちしております。

2018/10/9

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